やがて君になる 1〜7話 感想ツイートまとめ

2018年も平成ももうすぐ終わりますが、
最期にバケモノみたいなアニメが来たので久々にブログ更新。

やがて君になる
原作は未読で、公式HPがオープンした時に見に行ったんですが、その時点で作品の雰囲気が何となく感じられるし、キャラクター紹介が絞られていたので期待していましたが想像以上でした。
あとシンプルなデザインも格好いい。

キャラクターは侑の「好きがわからない」というキャラクター像がとても新鮮だったのがまず印象的だった。
演出は一人称視点のカメラワークを多用してきたりして、とても凝っている。
暗喩表現もとても豊富で、見ていて何度も発見があるし、背景美術の丁寧さも白眉。

というわけで、色々つぶやいているのをまとめてみた。


1話の最初の方だったんですが、細かい所へのこだわりがなんか尋常じゃないぞと感じた最初のシーン。









「ううん、違う」という二重否定は、
単純に「 同じじゃない」という意味とも、
「同じじゃないんですか?」という疑いに対して、「違うよ同じだよ」と言っているという意味にもとれる。
なので、小糸ちゃんも視聴者も「この先輩の事がわからない」となる。











このアニメは「間」の取り方が本当にうまくて、
「あ、このキャラクターいま何か感じたな(あのことを考えたな)」と自然と感じさせてくれるように作られている。
この細かい間がとられているおかげで、息づかいのようなものを感じる。
随所で間がうまく取られているので、気づいていなかった人は意識してみて欲しい。

















線を使った演出も多い。
ここで紹介した以外にもたくさんあるので、探すと楽しいと思う。







この足元の描写は原作漫画1巻でもされているシーンが多いですね。
しかしアニメ独自の一人称視点などで、少し増えているシーンもあります。
アニメ独自の演出なのか、原作からのインスパイアなのか、答え合わせをしながら見るのも楽しいですね。








この作品は、直球の感情表現をできるだけ避けているように思います。
おそらくメインキャラクター達の多くが、自分の感情にそこまで自覚的ではないから。
一番自分のことを分かっていそうな佐伯沙弥香ですら、何故自分が橙子を好きなのか、7話で店長に聞かれるまできちんと具体的な形としては自覚していない。
だからこそ、『やがて君になる』と言うタイトルなのでしょう。








特に3話は、橙子の「手」の感情表現が多い回でした。
どれも、無意識下での橙子の感情の動きを如実に表わしている様に見えますね。










背景、本当に雰囲気を醸し出していて良いです。
いい感じに枯れたりくたびれた感じが出ているのも、日常の風景の中にいる人物を際立たせ、彼女たちの実在性が感じられます。
会話の「間」をうまくとれるのも、隠喩表現が冴えているのも、この素晴らしい背景があるからですね。







とにかく、さりげない描写(芝居)が多い。



ココに限らず、猫っぽい動きの多い侑。
しかし、好奇心は猫を殺すと言いますが大丈夫ですかね……。







感想ブログなどを見てもあまり言及されていないシーンなんですが(このあとの涙のように溶けるアイスへの言及が多かった)、個人的にはとても好きなシーンです。







うまくやらなければならないと、いっぱいいっぱいになっている橙子の様子を暗に表現しているシーン。





ココはわかりやすく寂しそうな顔に見える。かわいい。






自分で自分を抱きしめて、「特別な自分でいたい」という橙子は、侑の事を一瞬ここで諦めて、一人でどんなに寂しくて辛くてもずっとやっていくんだと覚悟(諦観?)している様にみえる。
侑は一方的に手を離されて、しかしそれをすべて許した。






橙子にプレゼントされたプラネタリウムの星空の下。何故橙子が自分の事を好きなのかを考えながら。
橙子につれてこられた体育館の星空の下。橙子が頼れるのは自分だけなんじゃないかと考えながら。






2話では好意を示す橙子に、「ずるい」と侑が憤りを感じる。
6話では好意を示しかけた侑に、「死んでも言われたくない」と橙子が拒絶する。









純粋な美しさと危うさが同時に存在して、視聴者の心を動かす。
この作品を象徴する風景。

このシーンで高揚した熱が、日が暮れた後に二人で帰るシーンで徐々に冷めていく。
そこで橙子の侑への感情が吐露される。
「好きは相手を束縛する」「どうか侑、私を好きにならないで――」という独白によって、奇妙な余韻が心に残って幕を引いて終わる。

映像、背景美術、演出、脚本、そして演技。
6話は本当に全てが完璧で、美しかった。











雫を橙子と沙弥香に見立てて、2つに分かれているけれど、最後は一つになれれば良いなという沙弥香の願望の発露にも見えなくもないし、
隣り合った2粒の雫(自分と橙子)を、コップを傾けて一つにしようとしたら思いがけず離れてしまった。
しかも雫は大きな溜まりに飲み込まれて、もはや取り返しがつかない。というマイナス方面の解釈もできる。
(過去の先輩との顛末の暗示にも見えなくもない)

沙弥香の複雑な感情同様に、色々な解釈ができる素敵なシーン。





「いい子」と繰り返し言ってくれるのは、自身を「悪い子」だと思っているであろう沙弥香にとって大きな救いになった。
(側にいるために本当の気持ちを隠すのが卑怯な行いだと思っている)

救われた沙弥香は、もう一度コーヒーカップに唇をつけて、コーヒー(自分の想い)を飲み込む。





やがて君になる」の特徴のひとつとして、とてもポップなEDがあげられると思う。
最初、もっとしっとりとしたEDの方が良いんじゃないかと思ったけれど、7話時点ではこのEDのおかげでアニメを見た後の軽やかさが本当に心地よい。
TVアニメ「 やがて君になる 」エンディングテーマ「 hectopascal 」



脚本の構成も、最期が重くなりすぎない様に原作漫画から上手に再構成されていて、
(例えば3話で、原作では話の途中にあったプラネタリウムを見上げるシーンをオチに持ってきてうまくつないでいる)
おまけのこぼれ話的なモノもうまく差し込まれているし、1つのエピソードでどう視聴者を満足させるかを考え抜いて作られていると感じる。



という感じで現在、『やがて君になる』7話終了時点です。
ここからの後半戦も期待しております。






こちらの記事もおすすめです。
『やがて君になる』の映像的妙味は、どのように生まれているのか?――加藤誠(監督)インタビュー

「好き」の気持ちはどこへ向かう?――『やがて君になる』キャスト対談:高田憂希×寿美菜子(前編)

「好き」の気持ちはどこへ向かう?――『やがて君になる』キャスト対談:高田憂希×寿美菜子(後編)

「好き」の気持ちはどこへ向かう?――『やがて君になる』佐伯沙弥香役・茅野愛衣インタビュー






〜商品紹介〜