やがて君になる 1〜7話 感想ツイートまとめ
2018年も平成ももうすぐ終わりますが、
最期にバケモノみたいなアニメが来たので久々にブログ更新。
『やがて君になる』
原作は未読で、公式HPがオープンした時に見に行ったんですが、その時点で作品の雰囲気が何となく感じられるし、キャラクター紹介が絞られていたので期待していましたが想像以上でした。
あとシンプルなデザインも格好いい。
キャラクターは侑の「好きがわからない」というキャラクター像がとても新鮮だったのがまず印象的だった。
演出は一人称視点のカメラワークを多用してきたりして、とても凝っている。
暗喩表現もとても豊富で、見ていて何度も発見があるし、背景美術の丁寧さも白眉。
というわけで、色々つぶやいているのをまとめてみた。
やがて君になる1話の細かすぎて伝わりづらいとても可愛かったシーン pic.twitter.com/PYOaiM1IAy
— i-za蔵 (@139RA) 2018年10月17日
1話の最初の方だったんですが、細かい所へのこだわりがなんか尋常じゃないぞと感じた最初のシーン。
この表情もよい pic.twitter.com/csxM8N72Uz
— i-za蔵 (@139RA) 2018年10月17日
やがて君になるの1話クライマックス、あえてドキドキという心音を使わずにティーカップの脈打つような揺れとBGM音量で表現したり、ここまでで何度も繰り返した足元描写を入れたり、「先輩は私と同じじゃないんですか?」という問いに「ううん、違う」という二重否定のセリフを入れてきたりしてて、最高 pic.twitter.com/UP89E57oWp
— i-za蔵 (@139RA) 2018年10月17日
「ううん、違う」という二重否定は、
単純に「 同じじゃない」という意味とも、
「同じじゃないんですか?」という疑いに対して、「違うよ同じだよ」と言っているという意味にもとれる。
なので、小糸ちゃんも視聴者も「この先輩の事がわからない」となる。
やがて君になる2話の例のシーン、踏切のベルだったり遮断器だったり色々と隠喩表現できっちり視聴者の感情を盛り上げてくれて楽しい。中でも、電車の「ゴトンゴトン」が高鳴る心音の様に聞こえる事。踏切ベルの音を一度絞ってあるから間違いなく狙ってて、気づいた時これ凄いとなった。 pic.twitter.com/29sQfOZcJf
— i-za蔵 (@139RA) 2018年10月17日
やがて君になるの間の取り方、これ凄くないですか。 pic.twitter.com/zb8ZocTFVK
— i-za蔵 (@139RA) 2018年10月17日
逆に間が短く被せている所 pic.twitter.com/kAMApA0PFK
— i-za蔵 (@139RA) 2018年10月24日
このアニメは「間」の取り方が本当にうまくて、
「あ、このキャラクターいま何か感じたな(あのことを考えたな)」と自然と感じさせてくれるように作られている。
この細かい間がとられているおかげで、息づかいのようなものを感じる。
随所で間がうまく取られているので、気づいていなかった人は意識してみて欲しい。
やがて君になる、EDで「赤い糸」をモチーフにしていいたりして、線(ライン)を演出にたくさん組み込んでいる(気がする)ので注目していきたい。 pic.twitter.com/2R5yXO1JGy
— i-za蔵 (@139RA) 2018年10月17日
関係性を表すような影のライン pic.twitter.com/zXCxfIgDNX
— i-za蔵 (@139RA) 2018年10月17日
小糸ちゃんはよく線の上を歩いている印象があって、綱渡りをしている様にも、あっち側とこっち側の境界線上にいる様にもみえる。 pic.twitter.com/WQEML8AKX8
— i-za蔵 (@139RA) 2018年10月17日
2話の頃、ラインの上を歩く侑。橙子とはまだそれほど深い関係にはなってない。6話、橙子の抱える過去と問題を知って悩む侑。絵的にもかなり奥深くまで進んで左右の分かれ道の上にいる。 #やがて君になる pic.twitter.com/wQC0MmAkrj
— i-za蔵 (@139RA) 2018年11月18日
3話で印象的だった「線」。何となくだけど、橙子の側に余裕がないような印象を受ける。 #やがて君になる pic.twitter.com/CewCth9hPm
— i-za蔵 (@139RA) 2018年10月23日
線を使った演出も多い。
ここで紹介した以外にもたくさんあるので、探すと楽しいと思う。
足元の描写が入念に繰り返されているので、ラインをまたぐ何気ない描写や「いつか恋を知ればふわふわになれるはず」みたいなセリフがいい感じに効いてくる。 pic.twitter.com/yVks3lYSWW
— i-za蔵 (@139RA) 2018年10月17日
この足元の描写は原作漫画1巻でもされているシーンが多いですね。
しかしアニメ独自の一人称視点などで、少し増えているシーンもあります。
アニメ独自の演出なのか、原作からのインスパイアなのか、答え合わせをしながら見るのも楽しいですね。
この作品は、直球の感情表現をできるだけ避けているように思います。
おそらくメインキャラクター達の多くが、自分の感情にそこまで自覚的ではないから。
一番自分のことを分かっていそうな佐伯沙弥香ですら、何故自分が橙子を好きなのか、7話で店長に聞かれるまできちんと具体的な形としては自覚していない。
だからこそ、『やがて君になる』と言うタイトルなのでしょう。
3話の手その3 #やがて君になる pic.twitter.com/YfkHM4dIfl
— i-za蔵 (@139RA) 2018年10月23日
特に3話は、橙子の「手」の感情表現が多い回でした。
どれも、無意識下での橙子の感情の動きを如実に表わしている様に見えますね。
手の描写がとても多かった3話で、1話の手の描写を回想させるのも上手い。 #やがて君になる pic.twitter.com/8L3txnHbrl
— i-za蔵 (@139RA) 2018年10月23日
足元も引き続き描写されていて、個人的に注目している「線」も目を引く。あと、道路の美術が地味にいい仕事をしていてすごい。 #やがて君になる pic.twitter.com/7npu9x2PPn
— i-za蔵 (@139RA) 2018年10月23日
背景、本当に雰囲気を醸し出していて良いです。
いい感じに枯れたりくたびれた感じが出ているのも、日常の風景の中にいる人物を際立たせ、彼女たちの実在性が感じられます。
会話の「間」をうまくとれるのも、隠喩表現が冴えているのも、この素晴らしい背景があるからですね。
手持ちの小銭が無くてジュースを断念した小糸ちゃんに飲みかけのジュースを渡すまでは先輩ムーブっぽさもあり橙子が攻め。でもふつーにリアクション無しでぐいっと飲んじゃって小糸ちゃんが返り討ちにする。(でも微妙に二人とも浮足立っている) #やがて君になる pic.twitter.com/Eon5LUGeat
— i-za蔵 (@139RA) 2018年10月23日
とにかく、さりげない描写(芝居)が多い。
目的地の本屋が自宅という事をネタバラシした時の顔がいたずらするネコみたいで、直前に写った野良ネコがリフレインする。 #やがて君になる pic.twitter.com/dQ0VQumK9J
— i-za蔵 (@139RA) 2018年10月23日
ココに限らず、猫っぽい動きの多い侑。
しかし、好奇心は猫を殺すと言いますが大丈夫ですかね……。
ぽっかりと穴みたいに暗い背景、並んでいる男女のマーク(トイレ)、待ちぼうけしてる女性、ゴミ箱、このシーンの背景はアカリちゃんの状況を知った後で見ると何やら隠喩まみれの様にも見える。 #やがて君になる pic.twitter.com/MkeA8uT90I
— i-za蔵 (@139RA) 2018年10月23日
感想ブログなどを見てもあまり言及されていないシーンなんですが(このあとの涙のように溶けるアイスへの言及が多かった)、個人的にはとても好きなシーンです。
小糸ちゃんが隣で練習して、ため息までついてるのに全然反応しない橙子。こういうなにげない描写が本当に上手なアニメだ。 #やがて君になる pic.twitter.com/OzY93NVPb6
— i-za蔵 (@139RA) 2018年10月23日
うまくやらなければならないと、いっぱいいっぱいになっている橙子の様子を暗に表現しているシーン。
小糸ちゃんが「ちょっと外に出てきます」って言った時の捨てられた子犬みたいな顔。 #やがて君になる pic.twitter.com/dir02YUiXk
— i-za蔵 (@139RA) 2018年10月23日
ココはわかりやすく寂しそうな顔に見える。かわいい。
過去を問われた時、一度小糸ちゃんを掴んでいた手を離して自分を抱く橙子。「特別な自分でいられなくなるくらいなら、一人でいい」と思っていた橙子だったけど、そこに小糸ちゃんはすかさず踏み込んでいって、全部許してくれる。これは惚れるのも仕方ない。 #やがて君になる pic.twitter.com/rTIeVwlpYX
— i-za蔵 (@139RA) 2018年10月23日
自分で自分を抱きしめて、「特別な自分でいたい」という橙子は、侑の事を一瞬ここで諦めて、一人でどんなに寂しくて辛くてもずっとやっていくんだと覚悟(諦観?)している様にみえる。
侑は一方的に手を離されて、しかしそれをすべて許した。
演説シーン、生徒の様子ではなく、体育館の照明を映す。Aパートで見上げていた簡易プラネタリウムの星空とリフレインする。そしてどちらのシーンも、星を見上げながら考えているのは橙子の事。 #やがて君になる pic.twitter.com/cNDCn3WDRk
— i-za蔵 (@139RA) 2018年10月23日
橙子にプレゼントされたプラネタリウムの星空の下。何故橙子が自分の事を好きなのかを考えながら。
橙子につれてこられた体育館の星空の下。橙子が頼れるのは自分だけなんじゃないかと考えながら。
やがて君になる6話は2話と対になる様なシーンが多かった気がする。
— i-za蔵 (@139RA) 2018年11月17日
#やがて君になる pic.twitter.com/7nyq5EsU2d
2話では好意を示す橙子に、「ずるい」と侑が憤りを感じる。
6話では好意を示しかけた侑に、「死んでも言われたくない」と橙子が拒絶する。
2話では好きを知った先輩に置いていかれる事を憤りはしても静かに諦めて、受け入れる事のできていた侑。追いかける事もしない。6話では先輩に拒絶されて置いていかれる事にひどく恐怖して、その後で追いかけている。
— i-za蔵 (@139RA) 2018年11月17日
#やがて君になる pic.twitter.com/3h37XtbPM0
大きな柱と影の圧迫感から、夕焼け空への開放感。しかし足元にはやはり川が流れていて危うい。二人の立つ場所、歩み寄ることで距離は近くなっても同じ所では決してない。
— i-za蔵 (@139RA) 2018年11月17日
#やがて君になる pic.twitter.com/9Q5KymctFA
純粋な美しさと危うさが同時に存在して、視聴者の心を動かす。
この作品を象徴する風景。
このシーンで高揚した熱が、日が暮れた後に二人で帰るシーンで徐々に冷めていく。
そこで橙子の侑への感情が吐露される。
「好きは相手を束縛する」「どうか侑、私を好きにならないで――」という独白によって、奇妙な余韻が心に残って幕を引いて終わる。
映像、背景美術、演出、脚本、そして演技。
6話は本当に全てが完璧で、美しかった。
・沙弥香の密か?な反応
— i-za蔵 (@139RA) 2018年11月17日
・橙子のマジかこいつって表情
・槇くんがピクリと反応
・侑のいつもどおりフラットな感じ
・カメラから見切れつつも肩から力が抜けて安心する橙子の様子
短い時間にキャラの魅力と関係性がいっぱいつまってて、7話の中でお気に入りのいいシーン
#やがて君になる pic.twitter.com/wvbT7Rsez2
「告白しないの?」と聞かれた沙弥香が、「それは無理です」と言いながらカップの縁をなぞる。先生と店長との関係に気づいた飲み口と同じ所。カップと唇が触れていた所に残ったもの(気持ち)を指で拭き取るかのような動き。 #やがて君になる pic.twitter.com/qB01NCGcVr
— i-za蔵 (@139RA) 2018年11月21日
いろんな所で解釈談義がなされているコーヒーカップの雫。2粒あるのが気になる所。文脈からすると「一番の友人で良い」という気持ちと「それ以上の関係になりたい」という相反する2つの気持ちを今はまだ見えないよう隠してしまいたい(だから自分でコップを傾けた)という表現?
— i-za蔵 (@139RA) 2018年11月21日
#やがて君になる pic.twitter.com/lHBL7Rg1BX
雫を橙子と沙弥香に見立てて、2つに分かれているけれど、最後は一つになれれば良いなという沙弥香の願望の発露にも見えなくもないし、
隣り合った2粒の雫(自分と橙子)を、コップを傾けて一つにしようとしたら思いがけず離れてしまった。
しかも雫は大きな溜まりに飲み込まれて、もはや取り返しがつかない。というマイナス方面の解釈もできる。
(過去の先輩との顛末の暗示にも見えなくもない)
沙弥香の複雑な感情同様に、色々な解釈ができる素敵なシーン。
沙弥香の顔が映って揺れるコーヒーで、心の揺れと自分自身の心がぼやけてるのを表現してるの、普通に良い演出。その直後に台拭きで水滴(=紗弥香の涙・心の澱み)をサッと拭いているの、めっちゃ格好いい演出。
— i-za蔵 (@139RA) 2018年11月17日
#やがて君になる pic.twitter.com/g9aRG4Ugxw
「いい子」と繰り返し言ってくれるのは、自身を「悪い子」だと思っているであろう沙弥香にとって大きな救いになった。
(側にいるために本当の気持ちを隠すのが卑怯な行いだと思っている)
救われた沙弥香は、もう一度コーヒーカップに唇をつけて、コーヒー(自分の想い)を飲み込む。
「やがて君になる」の特徴のひとつとして、とてもポップなEDがあげられると思う。
最初、もっとしっとりとしたEDの方が良いんじゃないかと思ったけれど、7話時点ではこのEDのおかげでアニメを見た後の軽やかさが本当に心地よい。
TVアニメ「 やがて君になる 」エンディングテーマ「 hectopascal 」
脚本の構成も、最期が重くなりすぎない様に原作漫画から上手に再構成されていて、
(例えば3話で、原作では話の途中にあったプラネタリウムを見上げるシーンをオチに持ってきてうまくつないでいる)
おまけのこぼれ話的なモノもうまく差し込まれているし、1つのエピソードでどう視聴者を満足させるかを考え抜いて作られていると感じる。
という感じで現在、『やがて君になる』7話終了時点です。
ここからの後半戦も期待しております。
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